2013年1月 「ネット社会の可能性」

日経新聞に連載されている「ネット 人類 未来」は興味深い。  第3部の「山を動かす」では、グーグルがエネルギー問題などを解決するため、世界中の知恵を募る「Solve for X」というインターネット会議を最近発足させたという話題だ。 ネットの弊害も問題になっている昨今だが 「月面着陸級の大胆なアイデアを求む」というスケールにワクワクしその成り行きを期待してしまう。

 

最高経営責任者(CEO)のラリー・ペイジ(39)は「ネットという共通のインフラを使えば解決できないものはない」と話す。 英誌エコノミストの試算ではデジタル情報の蓄積量は世界の経済成長の4倍、コンピューターの演算能力は9倍の速さで増えているのだそうだ。
また、「データで食を救え」のテーマでは、畜産、メロン栽培 、気象予報などの各分野でデータを分析し、活用している例が示されている。

 

1月14日の関東地方の天気予報では、気象庁は雨予報を出したが、関東地方では10センチ前後の積雪となり正確な情報を伝えられなかった。 一方、民間の「ウェザーニュース」では正確に予報することができた。 その理由は、400万人のウェザーリポータの情報とレーダなど自社データを組み合わせ、気象データを解析し予報につなげるという、グローバル予報が正確な情報をもたらしたからだ。 

「石油も千年間、枯渇せずにすむかもしれない」という「千年ゲーム」があるという。


ゴールはエネルギー問題の解決で、ネットで世界中から参加者を募り、節電のアイデアを投稿したり企画した節電の催しへの参加を呼びかけたりして内容が評価されればポイントがつくというものだ。プレー期間は一生で、プレーをするのは1年に1日。 そして、このゲームを人類が続ければ「石油も千年間、枯渇せずにすむかも」と言う。 ネットを通じてのゲームなど、したこともないがゲームという遊びの中でアイデアを出しているうちに世界中から知恵や膨大なデータが集まるのなら素晴らしいことだ。  この千年ゲームのひな型は、07年に米ゲームデザイナー、ケン・エクランドが開発したオンラインゲームで、石油がなくなった状況を想定して解決策を募ったものだという。

 

参加者は石油が枯渇した後の生活シナリオをたて、動画などを投稿する。07年4月から32日間の期間中、12カ国から約2千人が参加したという。 ゲームを問題解決に使う取り組みは最近、「ゲーミフィケーション」と呼ばれ、効用を研究する動きが増えてきて注目されているという。

昨年の秋「バーチャル合唱団2000人の声」がNHKで放送され話題になった。  作曲家であり指揮者のエリック・ウィテカーの一人のファンの投稿動画がきっかけとなりに「バーチャル合唱団」が結成された。会ったこともない世界中の2000人もの人たちがネットを通じて連帯することで合唱は力強く素晴らしかった。

「三人寄れば文殊の知恵」とはよく言ったものと思っていたが、ネットを通して無限のアイデアが集まれば、人類の未来は明るいかもしれない。