2016年1月 「第九惑星」

新年早々飛び込んできたのは株安やテロの脅威そして北朝鮮問題など。 さて今年はどうなることかと思っていたが、米カリフォルニア工科大の研究グループが20日、太陽系の果てに海王星より20倍遠い軌道を回る惑星が存在する可能性があると発表した。 実際に発見されれば太陽系の「第9惑星」になる可能性があるという。

 

惑星が存在する可能性があるのは太陽系の外縁部の「カイパーベルト」と呼ばれる領域で、カイパーベルトにある6個の小さな天体が同じ向きに動いているのが発見された。 そして、コンピューターの模擬計算上でのシュミレーションで、これらの動きが未知の大きな惑星の重力の影響を受けている可能性が高いと推定された。

予測された惑星は地球より10倍重く、太陽のまわりを一周するのに1万~2万年かかるという。 マイケル・ブラウン教授は「誰かが論文に刺激を受け、観測を始めてほしい」と語っている。 存在の可能性が発表されたというものの、まだそういう段階なのである。 

 

日本でも2008年、向井正教授が、未知の惑星の存在を推定した論文を発表したが、この惑星もまだ見つかっていない。 この研究では、海王星の3倍弱の距離に質量が地球の0.3~0.7倍とやや小さめの惑星がある、と推定している。

カリフォルニア工科大のチームは「5年ほどで発見できれば」と期待するが、向井教授らが予測した天体でも最も明るいときで冥王星くらいにしかならず、さらに遠くにあるこの天体はより暗いとみられている。  

 

外縁部では、海王星と同じくらいの大きさの惑星が誕生する可能性はまずないとのことで、他の惑星と一緒に誕生した後、木星などの重力の影響ではじき飛ばされた可能性があるという。

惑星と認められるには、太陽の周りを回り、球状になるほど質量があり、その軌道の近くに他の天体がないという3つの条件を満たす必要がある。 冥王星は近くに同じくらいの大きさの天体があったため、2006年に惑星から格下げされたのだ。

日々紙面を賑わしている悩み多き人間世界を離れ、時空を超えた旅をしてみたいものである。