2015年1月 「錦織 圭」

勝負をかけたドロップショットをネットにかけてしゃがみ込んだ錦織圭を見て日本中がため息をついた。 全豪オープンテニスの準々決勝で前回王者のワウリンカ(スイス)にストレート負けを決める瞬間だ。 

最近の錦織の活躍は、トップニュースで報じられたり特集が組まれたり、テニスファンでない人からも関心が寄せられているが、活躍を見るたびに改めてその才能の豊かさに驚かされている。

 

約40年前、テニスコーチのニック・ボロテリー(83)が辺り一面トマト畑だったフロリダ州ブラデントンに住居と学校とコートが同居する世界初のテニスアカデミーを開いたが、テニス選手養成施設が評判になり、90年代はウィリアムズ姉妹(米国)、シャラポワ(ロシア)らが加わり、2003年には13歳の錦織圭が留学した。

 

入校当初は身体も細く、英語も話せず内気で目立たなかったというが、2年後にはあふれ出る才能が開花する。 「ボールを早く打つ能力が素晴らしい。相手の動きを読み、何よりフットワークがすぐれている」そして「錦織の武器は2つある。一つはマジックハンド。もう一つが人間性。両親に似て穏やかで落ち着いている」とコーチは話す。

日本で、錦織少年の才能を見いだし13歳で渡米させたのは、日本テニス協会名誉会長であり、私財を投じて創設した「盛田正明・テニスファンド」盛田会長。 そして去年からは元世界2位のマイケル・チャンがコーチとなり精神力を鍛えサポートしている。 そんな人々に支えられ、漫画「テニスの王子様」のファンだった島根県出身の小学生が、今世界で羽ばたいている。

 

「助走する新幹線には『気』が満ちている」という。 懸命に走る通勤電車を、ほんのわずかな加速の差で新幹線がゆっくり、ゆっくりと抜いていく姿が美しいという。 『なるほど!!』 「もっと遠くまで跳びたいなら、ちょっと後ろに下がるとよい」という英語の諺があるそうだ。 『なるほど!!』 そんな異次元の錦織のテニスにこれからもワクワクしたい。

               頑張れ錦織!! ガンバレKEI!!