2014年1月 137憶年の物語

クリストファー・ロイドの「137億年の物語」」は科学と歴史の両サイドからアプローチされ、137億年の歴史を42のテーマで分かりやすく綴っている。 具体的には、ビッグバンから2011年3月に福島で起きた第一原発事故までが語られ、人類がこれから対峙するであろう未来の問題を提起している。 新年にふさわしい本と出会い、過去を学ぶことにより、未来を考えなければいけないと思った。 以下が大まかな内容である。

宇宙が誕生して星が生まれ、奇跡的な条件が揃い地球が形成され、その地球にバクテリアなどの生命が出現する。 生命は進化を経て人類が誕生する。 人間は道具を使用することを覚え、自然の制約を克服し、人口は爆発的に増えていく。

世界は、科学の発展に支えられて、グローバル化した金融、貿易、取引システムの下に統一され、地球とその生態系は、人類の留まる事を知らない要求により、自然の枠組みから逃れる能力は増す一方だ。 遺伝子工学は、命にかかわる病気を遺伝子レベルで治療し、農作物では干ばつに強い作物を作りだすことを目指している。

 

著者は、このような解決策は人口増加を加速させ、資源が枯渇し環境が破壊された地球にさらなる負荷をかけることになる、と警告している。

2月に行われる東京都知事選でも、原発依存社会をどのようにしていくかが論点の一つになっている。 日本は、2011年3月11日の東北大震災で、福島第一原子力発電所でレベル7という大事故を経験した地震国である。 目先の経済のことを最優先するのではなく、将来のためにも立ち止まって考えなければならない。

 

作者は3つの「もし、」で私たち一人一人に問いかけている。
もし、地球の天然資源が使い尽くされ、資本主義が終わりを迎えることになったら?
もし、気候変動がさらに進み、自然がその手によって人類の急激な増加に歯止めをかけるとしたら?
もし、人類が、その進化的な本能ゆえに、今後も目先の物欲を抑えることが出来ないとしたら? 地球ではいったい何が起きるだろうか。 

村上龍の小説「歌うクジラ」のような未来は御免こうむりたい。