
歳とともに朝早く目覚めるようになった。少し前までは、日の出とともに5時ごろに目が覚めていたが、次第にその時間も早まり、今では4時には目が覚めてしまう。その時間をなんとかできないかと思い、オーディブルを始めた。
「読書」は「書を読む」と書くが、「聴く読書」であるオーディオブックは、近年急成長している。
プロのナレーターや俳優による朗読を、時間や場所を問わずに楽しめる。
つい最近まで、「活字を読まなければ読書ではない」と思っていたが、月額1,500円で90万冊以上の作品が聴き放題なのは魅力で、耳からの読書も意外に便利であることに気づいた。
調べてみると、オーディブルは2024年3月のサブスクランキングで12位に入っていた。
ランキングの1位から10位は以下のとおりだが、生成AIやオーディブルは、今後もっと上位になるだろう。
1位 英会話・英語学習
2位 運動・スポーツジム
3位 雑誌読み放題
4位 オンライン教育
5位 旅・ホテル
6位 医療・サプリメント
7位 動画・音声メディア
8位 生成AI(秘書のように活躍)
9位 服・スーツ
10位 スキマ映画
読書離れが進む中、「オーディオブックを出すと紙の本が売れなくなるのでは」と懸念する出版社もあった。だが、その不安を払拭した一例が、三宅香帆著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』だ。2024年4月に書籍が発売され、すぐに書店のランキング上位にランクイン。その勢いのまま6月にはオーディオブックも配信され、人気が上昇した。しかも、紙の本の販売も好調だったという。「本を読みたいけれど、読む時間がない」と感じていた人たちが共感し、スキマ時間に音声で読書する人が増えているのだろう。
オーディオブックのジャンルは、文学、自己啓発、政治・社会、投資・金融、教育・学習など、多岐にわたる。小説好きなら、各賞ごとの作品を選ぶこともできる。 本屋大賞:『カフネ』阿部暁子 芥川賞:『東京都同情塔』九段理恵/『ゲーテはすべてを語った』鈴木結生 直木賞:『ツミデミック』馬場蘭子/『藍を継ぐ海』伊与原新 など。
朗読は黙読と異なり時間はかかるが、人生をゆっくり愉しむような味わいがある。 今、登録しているのは以下の作品たちだ。
- 『鎌倉駅トホ8分』越智月子
- 『科学が突き止めた運のいい人』中野信子
- 『世界史』三省堂
- 『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー
- 『スピードラーニング』エスプリライン
- 『ナルニア国物語』C.S.ルイス
- 『ピーターラビット 英語を聞き流してマスター』
- 『心が育つクラシック モーツァルト』飯田有紗
- 『星の王子さま』サン=テグジュペリ
- 『3秒でハッピーになる名言セラピー』ひすいこたろう
- 『モモ』ミヒャエル・エンデ
- 『ソフィーの世界』ヨースタイン・ゴルデル
- 『万葉集』小島憲之
- 『古事記』町田康
- 『三国志』吉川英治
- 『こころ/それから 他』夏目漱石
- 『三体』劉慈欣
- 『国宝(上下)』吉田修一
今、一番聴かれているのは 吉田 修一の「国宝 上下」だ。
長崎の任侠一門に生まれ、抗争の末に父を亡くした主人公・喜久雄は、上方歌舞伎名門の当主・花井半二郎に引き取られ、半二郎の実の息子・俊介と共に芸の道を極めていく。小説もよかったが、映画では、喜久雄を演じる吉沢亮と俊介を演じる横浜流星の女形が美しく、その世界を描ききっていて見事だった。オーディブルの朗読は歌舞伎役者の尾上菊之助が担当しているが、どんな展開になるのだろうか。
図書のボランティアをしているので、新刊本に触れることも多いが、昔読んだ名著を「聴き直す」のも楽しい。「こんな内容だったのか」と新たな発見がある。 オーディブルを始めて、まだ数か月も経っていないが、時間つぶしにはもってこいだ。
早朝には『スピードラーニング』や『ナルニア国物語』を聴くことが多いが、なぜか英語の内容がまったく記憶に残っていないのは・・・歳のせいだろうか。昔、受験勉強で「寝ながらテープを聞く」方法が話題になったが、若者は本当に学習できていたのだろうか?